2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

無痛

久坂部羊先生の『無痛』を読了しました。久坂部羊先生です。現役のドクターです。神戸の住宅地での一家四人殺害事件。惨たらしい現場から犯人の人格障害の疑いは濃厚だった。凶器のハンマー、Sサイズの帽子、LLの靴跡他、遺留品は多かったが、警察は犯人像を…

私の消滅

中村文則先生の『私の消滅』を読了いたしました。すごーく陰鬱な作品でした。一言で言えば…とある精神科医が復讐をするお話です。緊張して読まないとある転換点がわからなくなります。それだけ緻密で面白いお話でした。中村文則先生です。かなりイケメン!な…

花の鎖

湊かなえ先生の『花の鎖』を読了しました。両親を亡くし祖母と2人暮らしの梨花は、祖母の胃癌の手術費に困窮し、生前の母に年に1度豪勢な花束を送り続け、両親が亡くなった後に資金援助を申し出てくれた名も知らぬ「K」という人物に助けを求める。伯父が役員…

長い長い殺人

宮部みゆき先生の『長い長い殺人』を読了しました。轢き逃げは、じつは惨殺事件だった。被害者は森元隆一。事情聴取を始めた刑事は、森元の妻・法子に不審を持つ。夫を轢いた人物はどうなったのか、一度も聞こうとしないのだ。隆一には八千万円の生命保険が…

王国

中村文則先生の『王国』を読了しました。昨日このブログで紹介した『掏摸』の兄妹篇です。(『掏摸』が兄で『王国』が妹です)組織によって選ばれた「社会的要人」の弱みを人工的に作ること。それがユリカの仕事だった。ある日彼女は見知らぬ男から忠告を受…

掏摸

中村文則先生の『掏摸』を読了しました。大江健三郎賞を受賞し、各国で翻訳された…中村先生の作品の中でおそらく最も有名な作品です。お前は、運命を信じるか?東京を仕事場にする天才スリ師。彼のターゲットはわかりやすい裕福者たち。ある日、彼は「最悪」…

院長選挙

久坂部羊先生の『院長選挙』を読了しました。久坂部羊先生です。国立大学病院の最高峰、天都大学医学部付属病院。その病院長・宇津々覚が謎の死を遂げる。「死因は不整脈による突然死」という公式発表の裏では自殺説、事故説、さらに謀殺説がささやかれてい…

リバース

五十嵐貴久先生の『リバース』を読了しました。五十嵐先生です。医師の父、美しい母、高貴なまでの美貌を振りまく双子・梨花と結花。非の打ち所のない雨宮家で家政婦として働く幸子は、彼らを取り巻く人間に降りかかる呪われた運命に疑念を抱く。そして、あ…

がん消滅の罠 完全寛解の謎

岩木一麻先生の『がん消滅の罠〜完全寛解の謎』を読了しました。岩木一麻先生です。国立がん研究センター、放射線医学総合研究所を経て、現在は医療系出版社にご勤務という経歴をお持ちです。日本がんセンター呼吸器内科の医師・夏目は、生命保険会社に勤務…

送り火

高橋弘希先生の『送り火』を読了しました。第159回芥川賞受賞作です。高橋弘希先生です。春休み、東京から山間の町に引っ越した中学3年生の少年・歩。 新しい中学校は、クラスの人数も少なく、来年には統合されてしまうのだ。 クラスの中心にいる晃は、花札…

豆の上で眠る

“イヤミスの女王”湊かなえ先生の『豆の上で眠る』を読了しました。※『イヤミス』…読んで嫌な気分になるミステリー。私だけが、間違っているの? 13年前に起こった姉の失踪事件。大学生になった今でも妹の心には「違和感」が残り続けていた。押さえつけても亀…

神様の裏の顔

藤崎翔先生の『神様の裏の顔』を読了しました。第34回横溝正史ミステリー大賞受賞作です。藤崎先生…元お笑い芸人さんです。『セーフティ番頭』というコンビを組んでいらっしゃいました。坪井誠造、享年六十八。教育者として自らの全てを捧げ、万人に慕われた…

百年泥

石井遊佳先生の『百年泥』を読了しました。第158回芥川賞受賞作です。石井遊佳先生です。私はチェンナイ生活三か月半にして、百年に一度の洪水に遭遇した。橋の下に逆巻く川の流れの泥から百年の記憶が蘇る! かつて綴られなかった手紙、眺められなかった風…

嗤う名医

久坂部羊先生の『嗤う名医』を読了しました。6つの短編集からなる一冊です。■寝たきりの殺意脊柱管狭窄症で尿道に管を入れられ自宅で寝たきり状態を強いられている男性は、嫁に浣腸を頼むのが憂鬱だ。 あげくに嫁は看護婦や医師にわたしが痴呆症だと嘘をつい…

美人薄命

深水黎一郎先生の『美人薄命』を読了しました。これまた初読みの作家さんです。深水黎一郎先生です。孤独に暮らす老婆と出会った大学生の総司。家族を失い、片方の目の視力を失い、貧しい生活を送る老婆は、将来を約束していた人と死に別れる前日のことを語…

ヒポクラテスの憂鬱

中山七里先生の『ヒポクラテスの憂鬱』を読了しました。2014年に連載された『ヒポクラテスの誓い』の続篇です。前作同様、北川景子さん主演でテレビドラマ化されています。私は観ていませんが“コレクター(修正者)”と名乗る人物から、埼玉県警のホームページ…

悪と仮面のルール

中村文則先生の『悪と仮面のルール』を読了しました。中村文則先生…私が今一番注目している作家さんです。邪の家系を断ちきり、少女を守るために。少年は父の殺害を決意する。大人になった彼は、顔を変え、他人の身分を手に入れて、再び動き出す。すべては彼…

ダンス・ウィズ・ドラゴン

村山由佳先生の『ダンス・ウィズ・ドラゴン』を読了しました。村山由佳先生です。井の頭公園の奥深く潜む、夜にしか開かない図書館。生い立ちに消えない痛みを刻むオリエ。過去に妹を傷つけたことを悔やみ続ける兄・スグルと、彼を救済したい妹・マナミ。前…

ホテルローヤル

桜木紫乃先生の『ホテルローヤル』を読了しました。第149回直木賞受賞作品です。↓桜木紫乃先生です。湿原を背に建つ北国のラブホテル。訪れる客、経営者の家族、従業員はそれぞれに問題を抱えていた。恋人から投稿ヌード写真撮影に誘われた女性店員。「人格…

おらおらでひとりいぐも

若竹千佐子先生の『おらおらでひとりいぐも』を読了しました。第158回芥川賞受賞作です。若竹千佐子先生です。74歳、ひとり暮らしの桃子さん。おらの今は、こわいものなし。結婚を3日後に控えた24歳の秋、東京オリンピックのファンファーレに押し出されるよ…

暗い越流

若竹七海先生の短編集『暗い越流』を読了しました。若竹七海先生です。初読みの作家さんです。『短編小説の名手』と呼ばれているそうであのメイプル超合金のカズレーザーさんイチオシの作家さんです。表題作をはじめ、5つの短編が収められていて『蠅男』と『…

森に眠る魚

角田光代先生の『森に眠る魚』を読了しました。東京の文教地区で育児を通じて親しくなった5人の母親たち。「受験は子供の意志に任せる」はずだった彼女たちは、いつの間にか受験という名の森に迷い込み、心を許し合っていたはずの5人の関係は異様なものへと…

悪意の手記

読了いたしました。中村文則先生の著作です。死に至る病に冒されたものの、奇跡的に一命を取り留めた男。生きる意味を見出せず全ての生を憎悪し、その悪意に飲み込まれ、ついに親友を殺害してしまう。だが人殺しでありながらもそれを苦悩しない人間の屑とし…