ヒポクラテスの憂鬱
中山七里先生の『ヒポクラテスの憂鬱』を読了しました。
2014年に連載された『ヒポクラテスの誓い』の続篇です。
前作同様、北川景子さん主演でテレビドラマ化されています。
私は観ていませんが💦
“コレクター(修正者)”と名乗る人物から、埼玉県警のホームページに犯行声明ともとれる謎の書き込みがあった。
直後、アイドルが転落死、事故として処理されかけたとき、再び死因に疑問を呈するコレクターの書き込みが。関係者しか知りえない情報が含まれていたことから、捜査一課の刑事・古手川は浦和医大法医学教室に協力を依頼。偏屈だが世界的権威でもある老教授・光崎藤次郎と新米助教の栂野真琴は、司法解剖の末、驚愕の真実を発見する。
その後もコレクターの示唆どおり、病死や自殺の中から犯罪死が発見され、県警と法医学教室は大混乱。やがて司法解剖制度自体が揺さぶられ始めるが……。
東京医科歯科大学法医学教室の上村公一教授が監修をされています。
医療を取り扱った作品には結構いい加減なものも散見されますが、本作はしっかりとした内容で読み応えがありました。
何より医療物は読み易いです。
前作のタイトルでもあり、本作でも本文中に何度か言及されている
ヒポクラテスの誓い
ってご存知でしょうか?
医師の倫理・任務などについてのギリシア神への宣誓文です。
現代の医療倫理の根幹を成す患者の生命・保健保護の思想、患者のプライバシー保護のほか、専門家としての尊厳の保持、徒弟制度の維持や職能の閉鎖性維持なども謳われています。
医学部に入って臨床実習が始まる前に、これを復唱させられます。
ここに挙げておきます。
医の神アポロン、アスクレーピオス、ヒギエイア、パナケイア、及び全ての神々よ。私自身の能力と判断に従って、この誓約を守ることを誓う。
- この医術を教えてくれた師を実の親のように敬い、自らの財産を分け与えて、必要ある時には助ける。
- 師の子孫を自身の兄弟のように見て、彼らが学ばんとすれば報酬なしにこの術を教える。
- 著作や講義その他あらゆる方法で、医術の知識を師や自らの息子、また、医の規則に則って誓約で結ばれている弟子達に分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
- 自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。
- 依頼されても人を殺す薬を与えない。
- 同様に婦人を流産させる道具を与えない。
- 生涯を純粋と神聖を貫き、医術を行う。
- どんな家を訪れる時もそこの自由人と奴隷の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う。
- 医に関するか否かに関わらず、他人の生活についての秘密を遵守する。
この誓いを守り続ける限り、私は人生と医術とを享受し、全ての人から尊敬されるであろう!
しかし、万が一、この誓いを破る時、私はその反対の運命を賜るだろう。