掏摸

中村文則先生の『掏摸』を読了しました。


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大江健三郎賞を受賞し、各国で翻訳された…
中村先生の作品の中でおそらく最も有名な作品です。

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お前は、運命を信じるか?
東京を仕事場にする天才スリ師。
彼のターゲットはわかりやすい裕福者たち。
ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎―かつて一度だけ、仕事を共にしたことのある、闇社会に生きる男。
木崎はある仕事を依頼してきた。
「これから三つの仕事をこなせ。失敗すればお前を殺す。もし逃げれば...最近、お前が親しくしている子供を殺す」
その瞬間、木崎は彼にとって、絶対的な運命の支配者となった……。


読み応えある作品でしたね。
絶賛されている理由がわかりました。


中村先生がお好きなドストエフスキーがここでも登場し、旧約聖書からの引用もありましたが

これまで私が読んだ彼の作品ほど哲学的ではなく

『掏摸』という反社会的な素材ではありましたが、かなり一般受けする小説ではなかったかと思います。

運命の不条理、人生の冷淡さ、生と死の緊張感といった中村ワールドのキーワードも充分に描き込まれていて

読後の爽快な陰鬱感(笑)は本作でも堪能できました。

この作品の兄妹篇『王国』はまだ読んでいないので、この後読んでみたいと思っています✌️

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