王国

中村文則先生の『王国』を読了しました。

昨日このブログで紹介した『掏摸』の兄妹篇です。
(『掏摸』が兄で『王国』が妹です)

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組織によって選ばれた「社会的要人」の弱みを人工的に作ること。
それがユリカの仕事だった。
ある日彼女は見知らぬ男から忠告を受ける。
「あの男に関わらない方がいい……何というか、化物なんだ」
男の名は木崎。
不意に鳴り響く部屋の電話。受話器の中から語りかける男の声…
圧倒的に美しく輝く「黒」がユリカを照らした時、彼女の逃亡劇は始まった。



『掏摸』と同様、反社会的なテーマの作品ですが、どちらも主人公は木崎と呼ばれる男と対峙します。

『掏摸』では『塔』がシンボルでしたが、本作はさらにその上位をいく『月』が登場しました。

主人公のユリカ…めちゃくちゃカッコ良かったし、テンポと臨場感は『掏摸』を圧倒的に凌駕していたと私は思いました。
(そんな風に感じたのは私が女だから…でしょうか?)


面白かったです。

この2作を読んで思ったこと…
人生とは運命とは不条理であること。
そして
簡単に人は人を信用してはいけないということ(笑)

なかなか余韻が消えない読後でした。

中村先生はこの2作両方読まなくていい。
それぞれが1つの独立したお話になっているから。

そうおっしゃっていますが

『掏摸』→『王国』の順に両方読まれることを私はお薦めします。