長い長い殺人
被害者は森元隆一。
事情聴取を始めた刑事は、森元の妻・法子に不審を持つ。
夫を轢いた人物はどうなったのか、一度も聞こうとしないのだ。
隆一には八千万円の生命保険がかけられていた。
しかし、受取人の法子には完璧なアリバイが…。
内容としては普通のミステリーです。
しかし語り手が『財布』という…
斬新というか奇想天外というか💦
ある事件に巻き込まれた10人が持つ財布の視点から語られた10篇の連作小説という形をとっています。
やがてこれらが線となって繋がっていき
真相解明に至るという訳です。
最初は『刑事の財布』。
“財布がお喋りする”という奇抜さになかなか感情移入ができず
“お子様の物語でもあるまいに”なんて思いながら読んでいるうちに挫折しそうになりましたが
次の『強請屋の財布』で読むコツが少しわかり
3番目の『少年の財布』で物語の方向性が見えてきました💦
その後、『探偵の財布』でちょっと面白くなり
『目撃者の財布』ではミステリーの様相がはっきりし
さらに『死者の財布』でぐっと面白くなり
次の『旧友の財布』、『証人の財布』では中だるみ。
『部下の財布』で小さなどんでん返しが起こってまた面白くなり
『犯人の財布』、『エピローグ再び、刑事の財布』を一気に読み切りました。
最後の大どんでん返しは想定内で
そういう意味で普通のミステリーと私は評価しています。
著者自身はこの作品を『プレ模倣犯』と位置付けていますが
私は『模倣犯』の方がずっと面白いと思いました。
なんかすみません💦
映画化もされているようで
機会がございましたら観てみようと思います。