愚行録

貫井徳郎先生の『愚行録』を読了しました。


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ええ、はい。あの事件のことでしょ?
幸せを絵に描いたような家族に突如として訪れた悲劇。
深夜、家に忍び込んだ何者かによって一家四人が惨殺された。
隣人、友人らが語る数多のエピソードを通して浮かび上がる『事件』と『被害者』。
理想の家族に見えた彼らは、一体なぜ殺されたのか……。


悪意に満ちた人ばかりが登場する
しかも大変後味の悪い作品でした。

被害者夫婦に纏わる6人へのインタビュー形式で物語は進み

その間隙に
妹が兄に語りかけるようなモノローグが挿入されていて

ん?
これは何だ?

なんて思いながら読んでいくうちに
それぞれのピースが繋がって全容が見えていくという…

極めて巧みな手法が採用された小説です。

人の心の基底にある嫉妬と羨望がこれでもかと言わんばかりに歪に表現されています。

読んでいて憂鬱になりました😭

ミステリーなのに、謎解きそっちのけで心が抉られていきます。

スゴイ作品ですね。

つくづく人間が嫌になります。
同じくらい慶應義塾大学も嫌になります(笑)

私…現役の時に慶應の医学部を受験しましたが落ちました。
その時は悔しかったけれど、本書を読んで慶應に入らなくて良かったと思いました💦

タイトルの『愚行録』ですが
『愚行』の本態は
虐待をした親でもなければ
殺人犯でもない
ましてや被害者夫婦の若き日の軽率さでもなく…

このインタビューに答えた6人の陳述行為こそが『愚行』を意味しているのではないかと私は思いました。


妻夫木聡さん主演で映画化されているようなので、近々観てみようと思います。

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