素敵な日本人

東野圭吾先生の短編集『素敵な日本人』を読了しました。


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9つの短編から構成されています。

■正月の決意
初詣に向かったら、神社に奇妙な格好で倒れている町長がいた。
何故こんな場所で?こんな格好で?
これは殺人未遂事件なのか?

■十年目のバレンタインデー
作家の男が十年ぶりに恋人と会った。
彼女は何か秘めた想いがありそうだが……。

■今夜は一人で雛祭り
一人娘が富豪のもとに嫁いでいく。
父は寂しさとともに心配する。
おとなしい娘が慣れない環境、人間関係に悩まないかと……。

■君の瞳に乾杯
アニメ鑑賞が大好きな『僕』。
友人に誘われて合コンに参加したら、とある女性もアニメが好きで意気投合。
しかし、彼女は自分や家族のことには決して触れさせてくれない。
彼女は何を抱えているのか?

■レンタルベビー
赤ちゃんを育てるということはどういうことなのか?
非婚化の進む世界で、子育てについて知るため、『赤ちゃんロボット』で擬似体験をする。

■壊れた時計
闇バイトで生計を立てる男。
とあるマンションにある彫像を盗んで来いという依頼を受けるが、その途中で住人に見つかり、誤って殺してしまう……。

サファイアの奇跡
孤独な少女がある日神社で猫と出会った。
ささやかな交流を続けていたのだが、猫は事故で死んでしまう。
しかしその後不思議な出来事が起こる……。

■クリスマスミステリ
役者の男が脚本家の女を自殺に見せかけて殺そうとする。
計画は完璧に進んだのだが……。

■水晶の数珠
名家の長男である主人公は家を飛び出し、役者の夢を追うためにアメリカにいた。
ある日、親子の縁を切っていた父が癌で余命短いことを知る。
自身の夢に反対し、勘当までしてきた父…
彼に会うことを迷いつつも、主人公は帰国する。
しかし帰国した直後、その父から電話がかかってきて……。


登場する人物がどこか知人に似ていたり、あなた自身にも経験のあるトラブルだったり、つい思い浮かべてしまう妄想の具現化だったり、読み心地はさまざま。
ぜひ、ゆっくり読んでください。
豊饒で多彩な短編ミステリーが、日常の倦怠をほぐします。


…なんて帯に書いてありましたが
私は一気読みしました。

さすが東野先生❗️
どのお話も面白かったです。
秀作揃いでした。

ただ…長編小説ほどの醍醐味はなかったかなぁ。

オチがイマイチだったり
ヒネリが軽かったり

ま、短編なので仕方ないんでしょうね。

逆に言えば
長編小説を読む時のような倦怠感はなく
スッキリ読めたのは良かったかも。

ミステリーの色合いも“程よく”と言った感じで
むしろヒューマンドラマ的要素が強い作品も多かったように思います。


個人的には

え?って感じで騙されてしまったのは『正月の決意』と『水晶の数珠』。
『水晶の数珠』は途中でオチが見えましたが。

フツーに面白かったのは『壊れた時計』と『クリスマスミステリ』。

特に良かったのは『レンタルベビー』と『サファイアの奇跡』かな?

是非読んでみてください。