何様ですか?

枝松蛍先生の『何様ですか?』を読了しました。


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初めて名前を聞く作家さんです。
いわゆる『覆面作家』らしいです。

2015年、“楓蛍”という名義で応募した『病の終わり、もしくは続き』という作品が第14回『このミステリーがすごい!』大賞で最終候補作に残るも受賞を逃し

2016年同作を加筆修正後、『何様ですか?』と改題し、宝島社文庫より『このミステリーがすごい!』大賞の隠し玉(編集部推薦)として刊行されたのが本作です。


中学時代に義父から性的暴行を受けた女子高生・平林美和は、義父に殴り殺された弟“ユウちゃん”を内面化し、その囁きに従って『ファイナルプラン』と名付けられた大量殺人計画を遂行しようとする。
一方、倉持穂乃果は意識が高く社交的で、自らの日常や読んだ本の感想をブログに書き続けていた。
そんな倉持を嘲笑しながら着々と計画を進める平林であったが、その先には思いがけない事態が……。


物語は11の章から構成され
さらに各章は3つの視点…平林の独白、男子が兄に宛てた手紙、倉持のブログで構成されています。

こうした異なる視点で描かれたパターンのお話は基本的には面白いのですが

特に平林のパートは辛辣な思考と言動に満ちており、読んでいて非常に不愉快でした。


人間の悪意は一様ではなく、あらゆる角度に増殖し、際限なく深化しうるものであり

その相克を通じて、より強い悪意を描くドス黒い物語なのである。

と本作は評されています。

評価がいろいろと分かれる作品みたいです。

辻村深月先生の『オーダーメイド殺人クラブ』のあからさま過ぎる本歌取りとか

黄金パターンの変奏であるとか

斜に構えたシニカルな筆致は出色とか

スティーヴン・キングの『キャリー』もびっくりの衝撃の結末が傑出しているとか

ワンアイデアを水増ししたり引き伸ばしたりした感じが強いとか

まぁいろいろです。

ラストのブラックどんでん返しは圧巻でしたが

こんなに読んでいてイライラさせられる作品は久しぶりでした。

私自身が性善説に基づく人間だからなのでしょうか?
本当に腹が立ちました💢

いや
腹が立った時点ですでに枝松先生の罠に嵌り、愚弄されたことに今気づきました。
ああ〜情けない💦

話題の作品みたいなので、何かの話のネタに読まれても良いかと思います。